十三の不審人物

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今日もいつも通りバイトを終えた私とかじへーは、帰る前にちょっと一杯飲もうとコンビニでお酒を買って飲んでいた。
まぁ一応私のうちで打ち合わせもするつもりなのだが・・・・。
おっさん二人は十三商店街でたたずんでいた。そして、かじへーは彼女に電話をしている時であった。
私の個人的な偏見なのだが、十三ってやはり変な人が多いと思う。田舎出身の私にとっては都会で人が多いから余計にそう思うのかもしれないが・・・・。
カジヘーが電話をしているころ私は一人で暇をもてあましてボーっとしていると、何か遠くのほうから変な声が聞こえる。
よく見ると30代位でちょっと秋葉原系、こっちで言う電々タウン系ファッションを見にまとった男が、何か独り言を言いながら千鳥足でこちらに向かってきた。
「やばい!なんかヤバイ人が来た!」
と感じた私は、全力でこっちに来るなオーラを出しながら目を合わせないことに神経を注ぎ込んでいた。
しかし健闘虚しく変なオジサンは段々こっちに向かってくる。
「なんだチミは?」
と言いたかったが、
「なんだチミはってか?そうです、私が変なオジサンです。」
等と軽快な切りかえしが出来るような人間ではない事は確かだ。
そんな間に距離は縮まっていく。20m、10m、ここで新たな事実に気づく。
カジへーは電話に夢中で、変なオジサンに気づいていない。
まさにドリフのシュチュエーション。
「志村ー!うしろ!うしろ!!」
変なオジサンまで残り5m。ここでようやくカジへー気がつき振り返ると、丁度変なオジサンは我々の間を通り抜ける。
しかし、その通り抜ける瞬間である。
変なオジサンは両手を我々に向けて、人差し指を突き出しこう言った。
「バーーン!!!!」
撃たれた。
我々は撃たれたのだ。
いや、ハートを撃ち抜かれたのだろう。
「ズキュン!!」
とでもなるのだろうか?
いやいやいやいや・・・・。
変なオジサンに撃ち抜かれるような特殊なハートは持ち合わせてなどいない。
私達は顔を見合わせ目が点になっていた。
そして変なオジサンは何か満足気な笑みを浮かべて闇夜に消えていった。
いやいやいや、してやったりじゃないって!!
心の中でツッコミを入れたが、我々の時間は止まったまま二人はしばらく固まって状況がよく飲み込めなかった。
ある意味ではしてやられたのかもしれない不思議な出来事であった。


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